私たちは、このたびの東日本大震災で亡くなられた多くの人々の命と営みへの「鎮魂と再生」の想いを託し、"このほしの このくにの このまちの あなたと。"というキャッチコピーを付与して、『映文連アワード2011』を進めてまいりました。
2007年に創設して以来、5周年を迎える「映文連アワード」特別企画として、失われた日本の原風景、様々な記憶を呼び起こす映像を上映する特別上映会 "このくにのかたち"~短編映像による『記憶と再生』の旅~を開催します。
第1部は、映文連アワード受賞作や過去の短編の名作などから、"日本の記憶"、"まちの記憶"、"ひとの記憶"などにまつわる短編映像をセレクトして、"失われた日本の原風景"をつむぎ出します。
第2部は「映文連アワード」のパーソナル・コミュニケーション部門から生まれた優秀な若手クリエーターの最新作やCMなどで活躍する若手クリエーターのショートフィルムを紹介します。
第1部 失われたこのくにの記憶 10:00~13:50
10:00
『やーさん ひーさん しからーさん 集団疎開学童の証言』 41分
(映文連アワード2007 最優秀作品賞)
製作:(株)シネマ沖縄
クライアント:沖縄県平和祈念資料館
体験者の証言をもとに沖縄戦史でも語られることの少なかった学童集団疎開の全体像を描く。「やーさん」はひもじさ、「ひーさん」は寒さ、「しからーさん」はさびしさ。
10:40
『光のなかの街 写真・映像でつづる芝地区の60年』 31分
(映文連アワード2007 ソーシャル・コミュニケーション部門優秀賞)
製作:(株)日本映画新社
クライアント:港区 芝地区総合支所
東京都港区の誕生60年を記念する映像による地域史。住民参加で家庭写真やホームムービー・ビデオなどを収集、ニュース映画や新聞写真などの資料映像と組み合わせて編んだ街と住民の歴史。
11:10
『帰ってきたもうひとつの遺産 綴TSUZURI 文化財未来継承プロジェクト』 8分
(映文連アワード2009 経済産業大臣賞)
製作:(株)電通クリエーティブX
クライアント:キヤノン(株)
失われた遺産を元の場所へ。シアトル美術館にある狩野孝信筆とされる「琴棋書画図」が龍安寺へ里帰りをする。世界に誇る日本の文化財を、最新のデジタル技術と伝統工芸の技を用いて再現し保存するプロジェクトを紹介。
11:20
『丹後の藤織り』 35分
(1987年キネマ旬報・文化映画10位)
製作:(株)電通映画社(現・(株)電通テック)
クライアント:京都府教育委員会
古代から庶民の衣料として広く織られてきた藤織り。京都府の北部、丹後半島の上世屋地区に残る藤織りの紡織技術を作業工程に準じて忠実に記録している。
12:00
特別上映作品『泥の河』 103分
(1981年)
(キネマ旬報ベストテン第1位、毎日映画コンクール最優秀作品賞、
ブルーリボン賞最優秀作品賞など多数)
小栗康平監督作品
木村プロ
まだ戦後の焼け跡の匂いを残す河っぷちで食堂を営む家族がある。
その一人息子である9歳の信雄は、ある雨の早朝、橋の上で鉄くずを盗もうとする少年・喜一に出会った。
雨に煙る対岸に、その日つながれた、みすぼらしい宿船の少年である。友達になったことを父・晋平に話すと、夜はあの舟へ行ってはいけないという・・・。
宮本輝の小説を小栗康平監督が自主制作の形で映画化した。
14:00~15:30
トークセッション 『映像が"記憶"すべきもの』
戦争、復興、大震災、原発事故・・・、多くの災禍や近代化によって失われた日本、
そして日本人の原風景とは何か。
これからの日本再生に向けて、映画及び短編映像の果たすべき役割を問う。
- ゲスト:
- 佐藤 忠男 氏(日本映画大学学長、映画評論家)
小栗 康平 氏(映画監督)
加瀬 泰 氏(電通テック シニアディレクター)
日向寺 太郎 氏(映画監督) - 司 会:
- 恩田 泰子 氏(読売新聞文化部記者)
第2部 新しい未来への記憶 16:00~17:15
16:00
『ティッシュ配りのテロリスト~Terrorist of Tissue Distributor~』 2分
(2005年 スペイン国営放送局TVE放映)
監督:渋江修平
(太宰治短編集「走れ メロス」映文連アワード2010準グランプリ)
主人公の女は無視するまでは許せるが、避けて通る人は許さない。
避けた場所に布団を仕掛け、永遠の眠りにつかせ、天国に葬るティッシュ配りの女の話。
『Truning Point』 7分10秒
(2010年)
監督:渋江修平
還暦を迎えた実父(渋江耕造)の勇姿を撮ったショートムービー。
16:10
『Right Place』 5分24秒
(カンヌ国際広告祭 Young Directors Award 2006 / 最優秀ショートフィルム賞)
監督:関根光才
「モノ」の位置が気になってしょうがない、深夜のコンビニで働く一人の男。「全てのモノには正しい位置がある」という、ちょっと偏執的な確信に突き動かされる男の人生は、コンビニの客とのやりとりの中で、次第に変化してゆく・・・。
16:17
『棒高跳び』 1分
(JAC リマーカブル・ディレクター・オブ・ザ・イヤー2009 ファイナリスト)
監督:大釜友美(ドマーニ)
(「流れの底」映文連アワード2007パーソナル・コミュニケーション部門奨励賞)
テーマは「もっと、コミュニケーションを・・・」。越えなければならないものと対峙しつつ、棒を持ち、街中を疾走する登場人物たち。
コピーは、「コミュニケーションは 時々こわい」。
『賞賛』 1分
(JAC リマーカブル・ディレクター・オブ・ザ・イヤー2010)
監督:大釜友美(ADKアーツ)
「マナー」をテーマにしたCM。マナー違反をすればするほど"賞賛"の的になってしまう!?コピーは「馬鹿にされています あなたの無神経」。
16:20
『雨ふらば風ふかば』 30分
(映文連アワード2011 応募作品)
監督:沼田 友(多摩美術大学情報デザイン学科 卒業制作)
舞台はお墓。
お墓の前に居座ってしまう少年と、それを疎ましく眺めるお墓の主の女の子。
コメディ・チックな冒頭から、やがて物語は思わぬ方向へ-。
万物の生と死、別れと再生を描き出すCGアニメーション。
16:52
『避けられる事 Exhalation』 21分
(2010年)
(ロッテルダム、全州、上海など国際映画祭 招待作品、
第24回東京国際映画祭「アジアの風」上映 )
監督:エドモンド・楊 (「kingyo」映文連アワード2009 準グランプリ)
同級生が交通事故で死亡したことをきっかけに、地元で久々に再会した女友達二人(篠原ともえ、杉野希妃)。一夜を語り明かすうちに、二人にまつわるある因縁が明らかになる・・・。
アジア・インディーズのミューズ、女優 杉野希妃の主演・プロデュース作品。