小網町短信

第5回 2012.11.5

◆映文連アワード2012表彰式・上映会プログラムが出来ました。

長かった猛暑の夏も過ぎ去り、日増しに秋色が増しつつあります。
秋は、映画祭が目白押し。10月20日に幕を開けた第25回「東京国際映画祭」は、1週間の上映を経て28日にクロージング。フランスのロレーヌ・レヴィ監督の「もうひとりの息子」が東京サクラグランプリと監督賞を獲得し、幕を閉じました。
ロレーヌ・レヴィ監督は、「たいへん光栄で、賞は幸せを運んでくれた。チーム全員と喜びを共有したい」と、やや太めの体で喜びを表現。その姿が印象的でした。1本の映画を作ることはたいへん疲れるもの、それが報われるひとときが、このような表彰の場であろうと思われます。


 さて、私たちの「映文連アワード2012」も、11月26日に表彰式を迎え、翌27日から3日間に亘って、受賞作品上映会を開催します。このほど、上映会のプログラムが出来上がり、特設HPもオープンしました。
今年は、YouTubeに動画告知映像をアップ。映像から、表彰式の様子はだいたいおわかり頂けるかと思いますが、6回目となる今年は、会場を新たに六本木の国立新美術館講堂に移して表彰式を行います。気分一新して、その日を迎えたいと思います。


 今年、「映文連アワード」としては、過去最高150作品のご応募がありました。
私たちは、未曾有の東日本大震災を経た今年、「時代との共鳴」、「時代への意思」をコンセプトに、 ポスターにも掲げたように“この時代を…、愛している”というキャッチコピーのもと映像祭を展開してきました。
 応募作品は、その時々の社会状況を反映するもの。大震災、原発事故という状況を受けて、宮城や福島など被災地にカメラを持ち込んで、数多くのドキュメンタリーが制作されていることは知っていましたが、予想どおり、ソーシャル・コミュニケーション部門では、応募50作品のうち、10作品が大震災・津波などをテーマとしたものでした。受賞作にもこれは反映され、4作品が選ばれています。


 もう一つの特徴をあげると、戦争体験を語った作品が3本も選ばれたこと。
最優秀作品賞(グランプリ)は、東京・中央区の人々の空襲体験をまとめた証言記録『中央区戦災体験者の証言 空襲篇』。文部科学大臣賞には、沖縄戦の最中、僅か3名の戦死者にとどめた女子学徒隊の記録『ふじ学徒隊』が受賞。
そして、民家の土蔵に眠っていた兵事資料から、徴兵制度運用の実態を読み解いた『大本営最後の指令 遺された戦時機密資料が語るもの』が審査員特別賞を受賞しました。文化映画の受賞が比較的多かった近年の傾向を思うと、今年は非常に特色のある受賞作が並んだと言えます。


 表彰式の翌日11月27日から、富士フイルム西麻布本社ホールで行う上映会では、これらソーシャル・コミュニケーション部門の受賞作に加え、パーソナル・コミュニケーション部門で受賞した、次世代を担う若者たちの短編8作品、企業映像の今を知ることができる、コーポレート・コミュニケーション部門で受賞した12作品、そして、29日午後の「International Corporate Film Showing 2012」では、海外の優れた企業映像12作品も上映されます。
 11月も下旬、一連の秋の映像祭の最後をかざる映像祭となると思いますが、どうかこの機会に、今、この時代を描いた短編映像から、作り手たちの思いを感じ取ってください。

事務局 kiyo

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