室町短信

第2回 2011.11.23

「映文連 国際短編映像祭」へ行こう!

 

前回、2番手に当連盟の住田副会長を指名したのですが、一向に筆が進まず、再び事務局より発信することになりました。

さて、「映文連 国際短編映像祭」の開催が迫ってきました。今年の見所について少しご紹介しましょう。

 

受賞作品上映会の第1日目、11月30日14時からのトークセッションは「短編映像の過去・現在・未来」

これは、映像プランナーの吉原順平氏の著書『日本短編映像史〜文化映画・教育映画・産業映画』の出版を記念して開催します。

吉原順平氏は、数多くの短編映画や博覧会の展示映像などの企画に携わり、永年に亘る短編映像文化の振興に寄与した実績が評価され、このほど、第56回「映画の日」特別功労章の受章が決定しました。12月1日「映画の日」中央大会において、特別功労大賞の故岡田茂氏、特別功労章の加山雄三氏と故高峰秀子氏とともに表彰されます。

吉原さんは、一般の人には馴染みが少ないかもしれませんが、岩波映画時代の「年輪の秘密」、「日本発見」、「生きものばんざい」シリーズなどのテレビ番組の企画を始め、大阪万博、ポートピア ‘81、科学万博、国際花と緑の博覧会のパビリオンや産業博物館などの展示・映像展示のプランニングは数しれず、皆さんもきっとどこか吉原さん企画の展示に出合われていることと思います。

映文連では、7年前よりHPに吉原順平氏の「ショートフィルム再考」を連載してきましたが、このほど書籍としてまとめられ岩波書店より出版されます。この本は短編映像の流れとそれを担ってきた製作者の歩みを通じて、戦前・戦後の映像文化の一断面を描くものです。短編映像について書かれた書籍は少なく、HP掲載時においても、短編映像に研究する上で貴重な資料として、国内外から研究者の問い合わせが数多くあり、こういう形で書籍としてまとめられ世の中にでることは、たいへん意義のあることだと思われます。

トークセッションでは、出版を記念して、著者の吉原順平氏に短編映像の過去、現在、未来について語ってもらいます。聞き手は、新潟大学教授の原田健一氏。

短編映像を研究する人にとっては、必見のトークとなると思います。

 

そして、最終日12月2日の「5周年記念特別上映会」。

映文連アワードは、2007年にスタートして今年5年目を迎えました。
今年度がスタートする直前に、3.11東日本大震災が発生し、今年はポスター、チラシのデザインやコピーを急遽変更し、大震災からの復興と再生への想いを込めて進めてまいりました。先頃開催された「山形国際ドキュメンタリー映画祭」でも震災復興支援プロジェクト「Cinema with Us ともにある」で29本の震災関連の作品が上映されており、その素早い対応に感心したものですが、映文連では“記憶”にまつわる映像上映やトークセッションを通じて、日本再生に向けて短編映像の果たす役割を問い直してみたいと思います。ゲストには、映画評論家・日本映画大学学長の佐藤忠男さん、映画監督の小栗康平さん、これまで「映文連アワード」で受賞した映像ディレクターをお迎えします。

小栗監督には、今年初めて、映文連アワード二次審査委員を務めてもらいましたが、若い映像作家の作品に対し、実作者の立場から時に厳しく、多くは温かいまなざしの講評をいただきました。今回は日本の原風景を語るに相応しい、監督のデビュー作『泥の河』も35㎜フィルムで上映いたします。長く交流のある評論家の佐藤忠男氏との“このくにのかたち”をめぐる論議、さて、どんな展開になりますか。司会は、読売新聞文化部記者の恩田泰子さんです。ご期待ください。

 

もう一つ、11月29日午後開催の「International Corporate Film Showing 2011(世界の優秀企業映像を見る会)」。

映文連が海外の映像祭で受賞した企業映像を紹介して14回目になります。今年も、ドイツ・ハンブルクのWorld Media Festival(5月)と米国のU.S. International Film & Video Festival(6月)、2つの映像祭で受賞した作品の中から13本を国際委員会が選びました。

今年は、もちろん3.11以前に制作されたものですが、エネルギーや環境をめぐる作品が多く、一風変わった電力会社のリクルート映像や環境汚染をめぐるキャンペーン映像、車のデザインポリシーをめぐる論争、患者の立場に立つ製薬会社の取り組みを描いた映像など、もはや欧米と日本の技術的な差はないかもしれませんが、海外の作品は企業が伝えたいもの、語るべきメッセージを持って制作しているように思われます。

また、今年は初めて韓国より企業CM作品を招請します。11月9日に発表されたばかりのKorea Advertising Awards(KAA)で広告大賞やプロモーション金賞などを受賞した企業CM12篇を見て頂きます。

Webを見れば、どんな映像でも見ることができる時代ですが、欧米・アジアの映像祭で選ばれた作品の中から、映文連の目線でセレクトした企業映像をぜひ皆さんにご鑑賞頂きたいと思っています。

 

11月29日から4日間にわたって開催される「映文連 国際短編映像祭」にぜひお出かけください。

事務局 kiyo

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