公益社団法人映像文化製作者連盟
映文連アワード2015実行委員会
■ 私たちは何処から来たか 〜歴史と沿革
公益社団法人映像文化製作者連盟(映文連)は、1953(昭和28)年に任意団体教育映画製作者聯盟として発足し、1957(昭和32)年に社団法人教育映画製作者連盟となりました。発足時に中心的な役割を担ったのは、戦前から文化映画、長編記録映画、教育・教材映画、広報映画、訓練映画などの製作に従事してきた映画人たちです。これら先達たちは、映画法による「文化映画」の劇場上映制度が廃止され、視聴覚教育の振興が叫ばれるようになった戦後の状況下で、活動の主舞台を「教育映画」の製作に求めたのでした。
1969(昭和44)年、社団法人教育映画製作者連盟は社団法人映像文化製作者連盟と改称、「映文連」と略称することとなりました。ビデオの登場で映像メディアが多様化し、委託製作による「産業映画」の増加などで内容も多彩になり、もはや「映画」という言葉、「教育」という言葉では収まりきれなくなった現実を反映した改称でした。
更に創立以来57年に及ぶ事業展開を経た2010(平成22)年8月、「映文連」は新公益法人制度のもと内閣府公益認定等委員会において事業内容の公益性を認められて、「公益社団法人映像文化製作者連盟」として新たにスタートすることとなり、その目的も、映像文化並びに映像産業の振興を通じて、わが国の教育・文化の向上、産業・経済の発展に貢献し、広く公益に寄与するために、映像祭の主催や映像コンテンツ業界の発展と振興に関わる提言を行なうなど一層の拡がりを持つようになりました。
私たち「映文連」は、こうした歴史の責任を背負って未来を見つめ、多様な映像コンテンツを生み出し続けている製作者の団体です。
■ 私たちはいま何処にいるのか 〜多様化するメディア環境の中で
映文連会員の企業や個人が製作している映像コンテンツは、既存の用語では定義不可能と思われるほど多種多様です。
「短編」と呼ばれることもありましたが、会員は優れた長編記録作品も多く生み出してきました。「記録」と呼ばれることもありましたが、たとえば教育コンテンツには劇形式のものもアニメーションも少なくありません。「産業」といっても、企業などからの委託で製作される広報・宣伝・訓練用の作品もあるし、産業教育の教材として販売される自主作品もあります。企業や行政が社会還元を目指して発注する作品には、戦前からの「文化」という言葉が似合うものが少なくありません。劇場用の興行作品ではないという意味で「ノンシアトリカル」と呼ばれることもありますが、自主製作の「ドキュメンタリー」など、劇場上映を目指す作品づくりも果敢に試みられています。また、隣接して大きな業界があるテレビの番組やコマーシャルの製作、博覧会や展示施設のための映像演出の製作にも、時に参加しています。こうして日本の映像製作業界を見渡すと、劇場興行用映画とテレビ番組という二つのマスメディアの高い山がありますが、それらを含みつつ、中間には多種多様な映像コンテンツの世界が広がって日本の映像文化の基盤を形成していることが見えてきます。
映像コンテンツ製作者たちは、映文連の会員非会員を問わず、さまざまな映像祭やコンクールに積極的に参加して作品の社会的評価を高める努力を重ねてきました。しかし、近年のブロードバンドインターネットによる動画コンテンツ配信の普及、DVDによる映像出版の普及、機材の進歩による動画コンテンツ製作の大衆化と市民活動としての自主製作・上映運動の活発化といったメデイア状況の革新によって、マスメディアの外側の製作者たちの映像コンテンツも社会との接点を急速に広げており、製作業界全体の活動の未来に繋がるような独自の評価システムを求める声が高まってきました。
私たち映像コンテンツ製作者の仕事とはそもそも何なのか、私たち業界が依って立つ社会的使命と事業理念とは一体何なのか――自らのあるべき自画像を明確に描くとともに、社会に向かっても理解を訴えていく努力を、映文連は映像コンテンツ製作者たちの先頭に立って推進して参ります。
■ 私たちは何処に向かおうとしているのか 〜「映文連アワード」の意味するもの
「映文連アワード」は、以上の認識を共有する映像コンテンツ製作者たちが集い、自らの仕事の未来像を「作品」への評価を通じて具体的に考え、自らの未来のために有効な新しい価値を発見することを目指す場――小さくはあっても新しいタイプの映像コンクールとして創設されました。
「映文連アワード」は、プロフェッショナルによるプロフェッショナルのためのコンクールです。プロフェッショナルが自らを高めるために行なう自己開発型のコンクール、映像コンテンツ製作者の仕事の今後の可能性を拡げ、新鮮かつ現実的な企画提案を具現化した、説得力ある作品を顕彰する場として機能します。
「映文連アワード」の評価の根底となる理念は、次のようなものです。
○ “上質で責任ある視点に支えられた社会的行為”としての作品であるか。
○ “独創的なメディア戦略を踏まえたコミュニケーション行為”としての作品であるか。
○ “情報性と芸術性を高次元で統合する創作行為”としての作品であるか。
○ “産業的な持続性と成長性を期待させる経済行為”としての作品であるか。
「映文連アワード」では、これらを総合的に作品に体現させる能力をプロフェッショナルなものと考えます。
映像コンテンツ製作者の作品は多様で、作品にはそれぞれ独自の誕生の事情があります。また、これらのコンテンツは系列の映画館を持たず、免許された電波も持っていません。それぞれの作品が、それぞれの流通戦略を持たなければなりません。
これらのことを踏まえて、「映文連アワード」には、以下の3部門を用意しました。
- ◇コーポレート・コミュニケーション部門
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企業、行政、NPOなどの団体が、その活動のためにプロフェッショナルの製作者に委託して製作した作品を対象とします。(広報・販売促進・リクルート・教育訓練などを目的としたコンテンツはここで扱います) |
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企業、行政、NPOなどでの利用を目的として製作・販売された作品も、そのマーケッティング戦略が明確であれば、参加が可能です。 |
- ◇ソーシャル・コミュニケーション部門
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製作者又は製作者に委託した企画者が、社会に対して一定の影響を与えるか又は一定の寄与を行なうことを目的として製作した作品を対象とします。(文化、芸術、科学、教育、生活、健康など、広く社会を啓発し普遍的で有用な情報を提供しようとするコンテンツがここで扱います) |
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企業、行政、NPOなどの団体が社会貢献を目的に製作者に委託して製作した作品も、その貢献の戦略が明確であれば、参加が可能です。 |
- ◇パーソナル・コミュニケーション部門
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個人又はそれに準ずるグループの作品で、個人ベースであるからこそ実現できる可能性を追求し、かつ個人を超えた展望を示唆するものを対象とします。(映像コンテンツ製作の未来における個人製作者の役割について、積極的な提案を持つものが望まれます) |
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この部門では、学生を含む新人の参加を特に期待しています。 |
「映文連アワード」は、作品の選奨自体が目的ではなく、作品選奨を通じて映像コンテンツ製作者の仕事の未来像を描くという趣旨と理念を、実現するためのものです。
映像コンテンツ製作業界の未来を、製作者の仕事の未来を、「作品」への評価を通じて具体的に考え、未来を開拓するための有効な新しい価値を発見していくこと、そのための第一歩こそが「映文連アワード」です。
2007年、「映文連アワード」は、先ず映文連会員を対象として始動し、既に2008年からは映文連会員以外の映像コンテンツ製作者の方々にも広く参加を呼びかけて、オープンな選奨機会となっています。公益社団法人となった映文連が推進する今後の「映文連アワード」が、総ての映像コンテンツ製作者に開かれた評価システムとして、映像コンテンツ業界全体の活性化に向けて役割を果たすことを、私たち一同は強く願っています。
以上
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